今回は天禅桃子先生の作品のなかでも非常に評価の高い『ブルー・ド・ロワ』をご紹介します。
あらすじ
*一巻のネタバレを含む内容となります
子どもの頃から”羽”が見えていた桜路いづみ。
大きくなれば見えなくなると言われていたが高校生になった今でもいづみには”羽を持つ彼ら”が見えていました。
街で彼らを見かける度にあの人を探すクセもやめられずにいたある日、ついに見つけます。
あの頃のいづみを救ってくれた美しい青い羽をもつマナに。
あの頃と変わらない容姿を不思議に思いながらも追いかけて話しかけますが、記憶を消す術をかけられかわされます。
しかし術が効かないいづみにマナも驚きと関心を持ち今度はマナの方からいづみに近づき、マナの方も「あの時のガキか!」と10年前のことを思い出します。
10年越しに会えたマナは変わらず美しい青い羽をもちいづみを魅了しますがマナの方はいづみに特に何かあるわけでもなく淡々としています。
記憶操作の術も効かないいづみには何かあると、マナはいづみの家に一緒に暮らしている
じいちゃんの友人の息子で転校してきた同級生として、相方のリーキムは学校の保健医として、そして天界からも上級天使のガブリエルが噂を聞きつけいづみの生活に潜り込みます。
何も知らないいづみはマナとリーキムに羽をもつ彼らは”黒い羽をもち黒魔法を使う悪魔”と”白い羽をもち白魔法を使う天使”で、地上でだけでなく天上にも世界があることを教えてもらいなかでもマナは強大な魔力を持っているとして悪魔界のトップであるサタンにそれなりに気に入らていることを知ります。
サタンに気に入られてはいるマナですが他の悪魔たちには青い羽を持つ異端児として疎まれており、他の悪魔たちからあからさまな嫌悪や心ない言葉を向けられるのに対しマナも好戦的な態度を見せたりと誰とも馴れ合わない意思を見せます。
それでもいづみはあの頃と今も変わらず「マナは誰よりも綺麗だ」と伝えてくれます。
マナやリーキムたち悪魔と天使は堕天したある特別な力を持つ天使を見つけるために人間界にいること。
マナたちの世界ではパートナーは本能で相手を選び、惹かれ恋をして番いになるが悪魔と天使、もしくは人間との番いは許されておらず、もしそうなれば堕天して人間界に降りるしかなく堕天すれば二度と天界にも魔界にも戻れず見つかれば強制的に引き離される。
「一度見つけた相手を失うのは死ぬほど辛い」
リーキムはマナにあることを確認し、上司であるサタンに「マナは堕天するかもしれない」と報告します。
『ブルー・ド・ロワ』の見どころと感想
大げさでなく始めから最後まですべてが見どころなのですが、その中でも特に見どころ中の見どころをお伝えしたいと思います。
すんなり入り込める世界観
天使と悪魔というファンタジーな設定なのですが、天使と悪魔の見た目は人間と同じです。(全員いろんなタイプのイケメンでじいちゃんも超イケオジ、自慢。でも群を抜いてるのはいづみですかね、でもガブリエルの柔らかい感じも、あ、でも、マナのキツそうな目線も、あと、あと、、、)
天上にも街があって家もあり自然もあり携帯電話なども使っているので文化なんかも同じですね。
羽があるので飛ぶ場面や人間にはない魔力についての描写がたくさん出てきて、この二つはとても重要なポイントになるのですが効果や姿がとても想像しやすいので難しく考えたりせず、すんなり入ってきます。
ストーリーの完成度とキャラクターの奥行き
設定がわかりやすく自然なようにストーリーもとてもわかりやすいです。
とても壮大なストーリーなので起きることはちゃんと起きているのに、いい意味でシンプルでムダがなく何が起きていてどんな状況なのかなどがとてもわかりやすく、前のページに戻ったりすることなく読み進められます。
登場するキャラクターもとても素敵でクセが強く個性的というよりは芯に自分を持っていてそれをみんながとても大切にしていたり原動力だったりするので、雰囲気や表情も合わさって一人一人の言葉がとても響きます。
号泣
虚を突かれる展開やドキドキハラハラしたり切なかったり嬉しかったりする場面はたくさんあるのですが、そんな場面でのキャラクターの言葉や行動のうしろにある過去の出来事やつながりや意味や想いが読むほどに見えてきて、どんどん胸がいっぱいになります。
途中でも胸に迫る場面はたくさんあるのですが、最終巻で今までの切ない涙や嬉しい涙などそのすべてが解放され、なんで泣いてるのかわからないくらい色んな気持ちと温かさで泣いてしまいます。
最後に
いかがでしたか。この作品を読み終えて、名前の意味などをもう一度考えてみたりするとさらに感動が増します。
一度読むとやめられなくなるので、ぜひ時間があるときに読んでいただくことをおすすめします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。